ミャンマー企業のコーポレート・ガバナンスの現状

経済全般
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ミャンマーの事業環境は近年急速に整備されて来ているが、2018年8月の新会社法施行、オンライン登記システムの稼働はその最たるもの。現地コンサル曰く、これにより新しい会社の設立、スタートは格段に簡単になったとのことである。

ちょうど、2019年9月30月に 世界銀行が毎年発表する”ビジネス環境の現状”(Doing Business)の2020年版速報が公表されたが、ミャンマーは昨年からスコアを上げたトップ20の国の一つになった。

Myanmar implemented five initiatives that enhanced its business environment. The city of Yangon strengthened construction quality control by imposing stricter qualification requirements for architects and engineers and invested in its water and sanitation infrastructure. Nationally, Myanmar launched an online company registry platform, thereby merging several procedures and reducing the need for in-person interaction. Myanmar also made property registration faster by streamlining deed registration and appraisal. In addition, Myanmar courts started publishing performance measurement reports, and a new company law strengthened minority investor protections by mandating greater disclosure of transactions with interested parties, increasing director liability and requiring greater corporate transparency.

https://www.doingbusiness.org/en/reforms/top-20-reformers-in-db2020

ただし、もちろん、まだまだ、様々な業種ごとの規制や資本規制があり、実際のビジネス及び投資は簡単ではない。「ビジネス環境の現状」にしても、依然として下から数えた方が完全に速い。(2020年版はまだ出てないので2019年版ですが。)

(Source) World Bank (2019), Doing Business 2019, Myanmar.

前置きが長くなったが、ミャンマー企業のコーポレート・ガバナンスである。

「コーポレート・ガバナンス」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従 業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う ための仕組み

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000000xdn5.pdf

上記Doing businessで言えば、主に” Protecting Minority Investors”が関係し、現状、190か国中、185位である。 また、他の要素も見てみると、全体としてもASEAN諸国の企業に大きく後れを取っていることがわかる。



(Source) IFC (2019) “Myanmar Corporate Governance Scorecard 2018: A Report on the Assessment of Myanmar Companies”.


(Source) IFC (2019) “Myanmar Corporate Governance Scorecard 2018: A Report on the Assessment of Myanmar Companies”.

投資家の立場に立てば、少数株主保護を含めコーポレート・ガバナンスは、ミャンマー投資の際には考えざるを得ない問題だと思う。内部統制、開示など、新興企業へのPE/VC投資ならまだしも、一定規模の会社への投資や提携を考える時には大きな障害の一つになりうる。会計実務、税務の問題の根本にはコポガバがあるということも多いのではないかと思う。

しかし、現実問題、ミャンマー企業には海外から多くの投資を受ける準備が整っていないように見える。少なくともコポガバの観点からは。

そのはずである。コポガバは先進国でも比較的最近一般になってきた概念であり、資本市場自体が未成熟な段階で、経営者に理解してもらって一定のリソースを投入してもらうのが簡単にいくわけがない。

これまでの取り組みとしては、財閥系大企業が海外大企業を惹きつけるために取り組む、PE/VCが内側から少しずつ変える、上場を目指す企業が上場基準を満たすために取り組む、というのが主要な改善ルートと思われる。

他方、ミャンマー経済の底上げのためには、中規模で一定の成長性のある企業のコポガバ向上の結果、外部投資家が良い投資先を見つけやすくなる姿が望ましいとおもう。

そのためには、まずは実際にコポガバ向上に向けた行動を起こすべきミャンマーの経営者に対し、彼らにとっての具体的なメリットは何なのかをしっかり理解してもらうことから始めるべきだ。

個人的には、以下のような点だとおもう。つまり、コーポレート・ガバナンスを向上すると、あなたの会社にとって、何が、何故良いのかということだ。

  • 良いコポガバは、あなたの会社へ国内、国外から投資を惹きつけるためのもの。(下図一つ目と二つ目)
  • 良いコポガバは、あなたの会社の(市場)価値を高める。(下図三つ目)
  • 良いコポガバは、金融危機など外的ショックに対する、あなたの会社の安定性、強靭性を高める。(下図四つ目)

ちなみに、ある機会にミャンマー経営者たちの前でこの話をしたら大変喜ばれた。ミャンマーで似たような機会がある方は話のネタにしていただけると幸いである。



(Source) World Bank (2019), Doing Business 2019, Myanmar.


(Source) IMF (2016) “Corporate governance, investor protection, and financial stability in emerging markets”, Chapter 3 in Global Financial Stability Report (October), Washington, DC.
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